札幌、快晴。暑い。
藻岩山が遠く感じられる。
寄り道した一角のあるお宅の庭先で初めて見る橙色の大きな花が目に飛び込んできた。小さく見える白と赤の花はムクゲである。橙色の花はムクゲの木に絡まり、垂れ下がった蔓から出ている。しばらく見とれていると、そのお宅から、どこかへ出かける様子のご夫婦が出てきた。挨拶してから、その花の名を尋ねた。ノウゼンカズラ(凌霄花, Campsis grandiflora)だった。珍しがる私に、皆さんそうおっしゃいます、と奥さまは応じた。例年はもっとたくさん花をつけるということだった。
ある空き地で、直径1センチ前後の小さい果実をたくさんつけた低木が目にとまる。エゾノコリンゴ(蝦夷の小林檎, Malus baccata)のようだ。よく似たヒメリンゴ(姫林檎, Malus cerasifera)、ハナカイドウ(花海棠, Malus halliana)、ズミ(酢実, Malus sieboldii)など野生のリンゴの仲間(Malus)であることは間違いないと思う。
こんな感じで、こちらはまだ実をつけていないエゾノコリンゴの樹(♥)が5株もあるタンポポ公園は本当に小さな公園であるにもかかわらず、その他にイチョウの樹(♠)が大小4株、オニグルミ(♣)2株、さらにニセアカシア(♦)1株までが敷地を囲むように配置されている。が、植えられたというより、もともと生えていたのを無闇に伐採しなかったという印象が強い。毎朝ここで風太郎は水を補給する。私はオニグルミとニセアカシアの木陰に十秒間佇む。今朝はその四種の樹の幹の表情の違いを確かめるつもりで接写した。
オニグルミ(walnut)(♣)
ニセアカシア(Locust)(♦)
エゾノコリンゴ(Manchurian crab apple)(♥)
イチョウ(Ginkgo)(♠)
ただ、それだけ。
不図、風太郎の目線と私の目線の違いが気になって、同じ場所で高さだけ変えて同じ方角を撮影した二枚の写真を重ねてみた。風太郎の目の高さで撮った方は傾いているので失敗作だが、ちょっと面白い。記録の多重化の試み、なんて意味がよく分からない嘘で、そうしてみたかっただけ。