命名の記憶:穴の川 VS. 石山川


札幌市南区の石山、ロッキー・マウンテンのかつての景観は、石山地区を貫流する「穴の川」または「穴の沢川」の名にその記録を留めている。そこから石山の旧名が「穴の沢」であったことを知ったのだった。

石の記憶:「穴」とは何か


面白いことに、豊平川に合流する少し手前で川に架かる橋には「穴の川」と銘記された流域が国土地理院発行の地勢図に基づいた『北海道道路地図』では「石山川」になっている。

実は本来の自然の穴の川はそこからさらに少し遡った石山小学校の近くで人工的な放水路によって強制的に豊平川に合流させられているのだった。大半の水はその放水路に流れ込む。しかし元来の流れも途絶えずに、細い流れとなって続いている。そしてそれが全く別の川と合流して豊平川に注いでいる。その全く別の川が「石山川」なのだった。そういうわけで、放水路から下流は「石山川」と呼ぶ新しい習慣が生まれたのだろう。しかし、未だに、石山川と合流した先の下流に架かる橋には「穴の川」と銘記されているのだった。土地の記憶としての名が揺れる。

以上を踏まえると、Wikipedia穴の川の説明も分かりやすくなると思う。

なお、「石山川」や「東石山川」という命名は新しいはずだが、旧名やアイヌ語名(存在したとして)については調べがついていない。それらに関する情報は少なくともウェブ上には存在しないようだ。