- 作者: 永原康史
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2002/03/26
- メディア: 単行本
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永原康史『日本語のデザイン』(美術出版社、2002年)をときどき手に取っては、8頁分が折り畳まれた「日本語のかたち鳥瞰」図をひろげてみる。何も考えず、ただ見るだけでも楽しい。
そこには古代は471年の「金錯銘鉄剣」、503頃の「隅田八幡鏡銘」から現代は石井明朝(MM-OKL)とゴナB写研、OSAKA10ポイント、ビットマップ・フォント(アップルコンピュータ)にいたるまで51種の文字たちが文字通りグラフィカルに並んでいる。それは千五百年におよぶ「日本語のかたち」の変遷の一筋を巧みにレイアウトしたいわば「文字の歴史デザイン」作品にもなっている。色んな「声」が聞こえてくる。色んな「風」が吹いている。永原氏は書いている。
日本語はグラフィカルな言語である。文字が言葉を視覚的にリードしてきたといってもいい。日本語をただ造形としてだけ眺めてみても、文字は視覚言語として立ち上がってくる。やはり言葉はヴィジュアルコミュニケーションなのである。古今和歌集のかなを起点とし、メディアデザインの視点から、前千年と後千年の流れを追った。(8頁)
蛇足ながら、言葉はヴィジュアルコミュニケーションでしかない、わけではないことは言うまでもない。