文字

雪の上のハングル

「낙서금지(落書き禁止)」 窓 物置 フェンス ゴミステーション

文字の可読性と美学

id:mmpoloさんから送っていただいた東京都庭園美術館の「20世紀ポスター[タイポグラフィ]−デザインのちから・文字のちから」(TYPOGRAPHIC POSTERS OF THE 20TH CENTURY)展のカタログとDNP(大日本印刷)のggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)の「秀英…

フィオナ・バナー:アルファベットと格闘する女

Fiona Banner: Almost Fluorescent Nude, 2007 Fiona Banner: Colour Blind (Arsewoman Slashed) download image 2730 x 3502 pixels RGB jpeg もしアルファベットの文字環境に生まれ育ったなら、漢字に憧れるに違いないと思うことがある。漢字だけでなく仮…

音符と庵点

Part alternation mark 最近ウェブや電子メールで文末に音符「♪」を添える例をよく見かけるようになった。歌い出したくなるような嬉しい気持ちや楽しい気持ちを伝えようとする工夫であることは一目見て分かる。実は現代の散文では、音符は歌記号として使われ…

読めない最古級の草仮名墨書

富山県射水市一条の「赤田1遺跡」の溝から、9世紀後半(平安時代前期)の酒杯とみられる最古級の草仮名(そうがな)墨書土器が出土したというasahi.comの記事が目に留まった。 最古級の草仮名墨書土器が出土、和歌練習か 富山・射水(2008年04月24日) 「…

最古の万葉仮名文

新聞の切り抜きを整理していて、「最古の万葉仮名文」という見出しの記事が目に留まった。2006年10月31日の朝日新聞朝刊である。本文を引用する。 大阪市中央区の難波宮跡で、7世紀中頃のものとみられる、日本最古の万葉仮名文が書かれた木簡が見つかったと…

千二百年前、キミ(君)は伎美、伎見、吉美、枳美、岐美でOKだった‽‽

築島裕『歴史的仮名遣い』(中公新書、1986年、asin:4121008103)の「一 仮名遣いはなぜ起こったか––いろは歌の成立とその展開」を読みながら、興奮した。奈良時代には発音と仮名の関係は、こんなに自由だったのか、しかもその後区別されなくなる微妙な音、…

千五百年にわたる日本語のかたちを鳥瞰する

日本語のデザイン (新デザインガイド)作者: 永原康史出版社/メーカー: 美術出版社発売日: 2002/03/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (19件) を見る 永原康史『日本語のデザイン』(美術出版社、2002年)をときどき手に取って…

つい百年前の自国の文字を読めない不自由の異常さ

これは讀めるが…。 「いろは」、『竪一行双幅』部分 昔から好きだった良寛(Ryōkan Taigu, 1758–1831)の書を入口に「断絶」の彼方にある「旧字旧かな」の世界に入って行こうとしている自分がいる。良寛の「脆弱を恐れず、寂寥を忘れず」の生き方と「切実」…

透明な「文字」ソノモノなど、どこにもない

文字コードに関心を持った2000年頃に買った小池和夫・府川充男・直井 靖・永瀬唯著『漢字問題と文字コード』(太田出版、1999年)をこの度は漢字への関心から読み直していた。やはり「真性活字中毒者」たちが活躍していたのだった。 asin:4872334868本書の内…

呪文、暗号(cipher)?

たまたま立ち寄った山中の寺で呪文的筆致の「南無妙法蓮華経」に出会った。。その寺にはなぜか「法龍水」と名付けられた正しく「龍=水」を祀る祠(ほこら)があった。その中には呪文的筆致の文字が禍々しく蠢く掛け軸まであった。しかも思わず眼を見張った…

飛んでる平仮名:嵯峨本『伊勢物語』*1

国立国会図書館に行ってみたら(もちろんウェブ)、「貴重書展」をやっていて、以前からちょっと見たかった江戸時代初めに印刷された「嵯峨本」と呼ばれる当時の高級本に入る『伊勢物語』が展示されていた。が、ウェブ上ではデジタル画像は一枚しか見ること…

ジョン・ケージの「楽譜」を鏡にして:ハングルの音楽性と平仮名の音楽性

アジアの本・文字・デザイン―杉浦康平とアジアの仲間たちが語る作者: 杉浦康平出版社/メーカー: DNPグラフィックデザインアーカイブ発売日: 2005/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (16件) を見る 杉浦康平と韓国のデザイナー…

血まみれの妖精:近くて遠いハングル

詩人の吉増剛造は「妖精」と書いて「ハングル」とルビを振った(『「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」』(集英社、1998年、14頁))。「ひらがな」とはルビを振らなかったのは何故なのかとずっとどこかで考えていた。 #GungSeo #PCMyungio 最近、パソコン…

カタカナ(片仮名)の素性

カタカナって不思議な文字だと思っていた。ハイカラでどこか気に障る雰囲気を持ち、でも実際には八面六臂の活躍をしている。明治生まれの祖父母が文章やメモを漢字カタカナまじりで書くのを不思議な気分で眺めていた幼い頃を思い出す。同じ仮名でも、カタカ…

片仮名の呪力、漢字の呪力、アルファベット漢字

愛を成就せんがための「護符」と周囲に添えられた漢字片仮名交じりの文言。室町末期の『呪詛秘伝書』から(『組版原論』57頁) これは、府川充男氏が、片仮名の持つ呪力を解説する場面で例に挙げた室町末期の写本『呪詛秘伝書』からの資料の一部である。府川…

誰もが皆、先に進みたがる。しかし、今は、後戻りするほうが、ずっと賢いと私は思う。

忘れた頃にやって来たジョナス・メカスの本。以前何度も言及した村田郁夫訳『どこにもないところからの手紙』(書肆山田、2005年)よりも早く2年前に出版された仏訳本である。後半に英訳も収録されている。表紙写真がとてもいい。 Jonas Mekas Lettres de Nu…

文字、見えないグリッドを探して

印刷された文字やディスプレーに表示された文字ばかり見ていると、時々無性にこの手で文字が書きたくなる。試みに一枚の白紙に向かって、ペンを持ち、何か文字を書こうとしてみる。「文字」と書こうと決めて、白紙を見つめて、どこに最初の点を打とうか、し…