登山は爽快、アヒルは愉快







自宅から車で15分。八剣山果樹園を再訪した。先月訪ねたときには羊や馬にまったく相手にされなかった。そのときの記録はこちら。

今回の目的は運動不足解消をかねた念願の八剣山(498m)登頂。9合目くらいで気持ちの良い若者たち、頼もしい吉田君をリーダーとする東海大学の学生さん5人組に出会い、一緒に登頂し、労をねぎらい合い、笑顔とメルアドを交換した。下山後、麓ではアヒルたちがすこしだけ相手をしてくれた。アヒルたちの貴重な映像を撮ることができた。是非ご覧いただきたい。めちゃ可愛いよ。アヒルがこんなに可愛いとは知らなかった。

登山に関しては、登りに約40分、下りに約20分かかった。頂上での休憩が約20分。トータル約1時間半の私にとってはかなりキツい「散歩」だった。運動不足と体力低下の認識不足もはなはだしいオーバーペースのせいで、情けないことに早くも1合目付近で息はゼーゼー、脚はパンパンになり、足下もフラフラと怪しくなったが、なんとか気合いで登った。登りでも下りでも大汗をかいた。しかし久しぶりに全身の細胞のすみずみにまで新鮮な酸素と血液が行き渡ったような清々しい気分だった。



植物に関しても、下界では目にしたことのないスイカズラ(吸い葛, Japanese Honeysuckle, Lonicera japonica)*1の黒光りした果実、フッキソウ(富貴草, Japanese spurge, Pachysandra terminalis)*2の真珠のような果実、カワミドリ(川緑, Korean Mint, Agastache rugosa*3の紅紫色の花を見ることができた。

入山するときに、麓の上砥山神社にご挨拶してから、八剣山直下のバーベキューハウス「八剣山の山小屋」に立ち寄った。特に義務はないのだが、なぜか山の主に一言声をかけてからと思ったのだった。果物や野菜の入ったレジ袋をぶらさげた数人のおばさんたちが小屋の中から出てきたところだった。彼女たちの後から出てきたスタッフらしい男性に登山口の場所を尋ねた。日に焼けた精悍な顔立ちの方だった。後から園主の桜井マナブさんにちがいないと思ったが遅かった。非常に親切に配慮の行き届いた言葉をかけていただいて、気分よく山に向かうことができた(八剣山のある砥山に根を下ろしてドイツ流のエコロジーを多面的に実践する桜井マナブさんとはいつか色々とお話ができればと思っている)。

下山して冷えたプラムジュースでもいただこうとふたたび山小屋に立ち寄った。屋外のバーベキューコーナーには二組の客がいて、ジュージューと肉が焼ける音が聞こえた。小屋の中では桜井姉妹が忙しそうに立ち働いていた。あいにくプラムジュースは売り切れで、梅ジュースとクッキーを買った。代金を支払っているとき、お姉さんか妹さんかどちらか分からない、勘では妹さんの累深さんが(違ってたら、ご免なさい)、私の汗だくの顔を笑顔で見つめながら、「ブログで書いてくれた方ですね? 羊と馬に出会う...」と思いがけない言葉をかけて下さった。「えっ? はい。読まれたんですかあ?」「読みましたよ。」...ということで桜井姉妹とちょっと盛り上がってしまった。喜んでもらえたようで私も嬉しかった。今日の登山記録も書く約束をした。楽しみにしてくれているようだった。

待てよ、と私の頭はフラッシュバックしていた。桜井マナブさんの私を見る目も初対面の人間に対する目の色ではなかったような気がしてきた。すでに桜井家にはこの花咲か爺の顔は割れているのか...。


梅ジュースとクッキーを持って小屋の外にでた。空いている席に腰掛けて今しがた頂上を極めた八剣山、別名観音岩山を見上げながら、梅ジュースをごくごく飲み、クッキーをボリボリ食べた。ジュースやクッキーがこんなに美味いとは。そのとき、なぜか敷地内で放し飼いされている三羽のアヒルが私の席に近づいて来たのである。上のビデオはそのとき思わず撮ったものである。

八剣山果樹園は、三代目の桜井マナブさん、お姉さん、そして妹さん(累深)の三人で運営されている。興味をもたれた方は、桜井累深さんへのインタビューをもとに八剣山果樹園の概要について「魅力」という観点から要領よく書かれた記事「八剣山果樹園」(『届け!繋がれ!いち農家いち発信ブログ in 北海道』)を読まれるとよい。

*1:生薬名は忍冬(にんどう)。薬効についてはhttp://www.e-yakusou.com/yakusou/250.htmを参照。

*2:薬効についてはhttp://www.e-yakusou.com/sou02/soumm075.htmを参照。

*3:生薬名は藿香(かっこう)。薬効についてはhttp://www.e-yakusou.com/sou/soum096.htmを参照。