希望の死んだ国で希望を遂行する

 朝日新聞朝刊2009年7月23日より

若者を切り捨て、働き盛りをリストラの恐怖に怯えさせ、年寄りを邪魔者扱いし、「毎年30万人を軽く越す自殺者および自殺未遂者を生み出している日本国家の不謹慎ぶり」に業を煮やした者は、不当な扱いに対する真っ当な怒りを筋の通った方向に立ち上げ、来たる総選挙に向けて、「投票用紙で武装し、蜂起せよ」と森巣博は強く訴える。

 よろしい。そっちがその気なら、こっちもやっちゃるよ。結構じゃござんせんか。上等じゃないのよ。
 投票用紙で武装して、蜂起する日がどうやら近づいてきたようだ。
 若者たちは暴走族よろしく、
  天上天下造反有理
  厭離穢土南無阿弥陀仏
 働き盛りは、
  連帯を求めて孤立を恐れず
  別個に起って共に撃つ
 そしてお年寄りはそれに加えて、
  失うものは入れ歯しかないっ
 と。

要するに、曲がりなりにも「民主主義」国家である日本に生きている以上、制度変革や政策転換の可能性という利点を「投票」という行動において最大限に活かさない手はないというわけだ。

民主主義の強みのひとつは、殺傷能力のある武器を持たずとも、投票用紙という武器で制度の変革を可能にする部分にある、とわたしは考える。そしてもうひとつの重大な特徴は、その政策でもっとも影響を受ける人たちが、もっとも強い発言権を持ちうる点だ。

いうまでもなく、投票することは、自分を切り捨て、追い込み、虐げている相手を変えるために、現行の制度の変革や政策の転換につながる可能性を「希望」として遂行することにほかならない。


参照


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