野の花の咲く墓地


父の七回忌の法要のため週末を故郷で過ごした。土曜日に父の代まで檀家だった寺に位牌を持参してお経を上げてもらい、日曜日に墓参りをした。祖父母と父母が眠る墓地は海を望む山の中腹にある。人影もなく深閑とした墓地は雑草が伸び放題で、マーガレットとブタナとムラサキツメクサなど、たくさんの野の花が風に揺れていた。極楽のようだと思った。仏花を持って来る必要はなかったなと思わず呟いて、女房に咎められた。眼を瞑り手を合わせると、全身に風を感じた。