Jonas Mekas @ Oil Kills Poets Spill

ジョナス・メカス10月17日の日記に‘Oil Kills Poets Spill’と題したビデオがアップされた。説明はない。珍しくYouTubeに投稿されたビデオなので、ここでも共有しておきたい。



原油は好きだよ。原油に罪は無いんだ。罪深いのは人間さ、、」とジョナス・メカスは低い声で皮肉たっぷりに朗読している。‘Oil Kills Poets Spill’? 「原油は枯渇し詩人が流出する」? 一体何のことだ? ちょっと調べてみたら、こういうことだった。


http://www.artofficial.us/


Oil Kills Poets Spill(原油は枯渇し詩人が流出する)。気の利いたタイトルである。これは画家であり詩人でもあるステファン・ボンデル(Stefan Bondell)が10月2日に主催したニューヨーク在住の画家と詩人19名による詩の朗読会(a poetry reading)のテーマを表わす言葉だった。詩の朗読会とはいっても、趣旨から言って、政界と産業界に対する抗議集会のようであり、その中身はユーモアを交えた辛辣な現代文明批評だったようである。きっかけは、いうまでもなく、史上最悪の環境破壊を招いたともいわれるメキシコ湾の海底油田の原油流出事故である(2010年メキシコ湾原油流出事故)。イギリスのBP社の石油掘削施設の爆発が直接の原因だった。ステファン・ボンデルは、そもそも石油産業界の腐敗、政府の怠慢、資本家の不正が真の原因ともいえる取り返しのつかない環境破壊的犯罪を黙って見過ごせなかったらしい。彼の思いに賛同し、呼び掛けに応じた画家と詩人の中にジョナス・メカスもいたというわけだった。それにしても、もうすぐ88歳になるとは思えないジョナス・メカスのフットワークの軽さとパワーを感じた。