19日(日曜日)、用事の合間に馴れない電車を乗り継いではじめて「女の町」下北沢に降り立った。勘を頼りに町を歩いた。俯瞰はできなくても、歩いていれば、人の流れや土地の高低や道の岐れ具合などからある程度は町の全体像が見えてくる。だが、時間に限りがある場合には焦りが迷いにつながる。地元の商店の店主や交番の巡査に尋ねたりして、目的の淡島神社に辿り着いた。十五年ほど前に吉増剛造の案内でジョナス・メカスも訪ねた神社である。一度訪ねたいと思っていた。徳川家に縁のある森厳寺の境内にあり、日本神話の最も古い部分に関係を持つ女を守る神社である。総本山は和歌山にある。立派な針塚が目をひいた。境内にはジョナスが手を触れ接吻した桜の木は見当たらなかったが、樹齢四百年をこえると伝えられる銀杏の威容に圧倒された。
「一竹辻が花」。道了尊を祀る大雄山真龍寺に通じる路地にある石柱。著名な染織家の旧居跡らしいが、未詳。辻が花染の久保田一竹か?
茶沢通で見かけたホトトギス(杜鵑, Toad lily, Tricyrtis hirta)