スターバックスのロゴマークの消息


スターバックスの店名は、シアトル近くのレーニア山にあったスターボ採掘場と、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』に登場するエイハブ船長を諌める冷静な一等航海士スターバックの名に由来すると伝えられる。ロゴマークには船乗りとの縁が深いセイレーンギリシャ神話に登場する人魚)が用いられている。あのオデュッセウスも誘惑された死の歌を歌う人魚、海という自然の底知れぬ力を象徴するとも言える海の怪物である。好きだ。


そうだった。今年の初め、星の冠を戴いたセイレーンが印象的なスターバックスのロゴについてシュルツ最高経営責任者が文字をなくした新しいデザインに変更すると発表した際に、同社のウェブサイトにはスターバックス愛好者を名乗る人たちからの否定的なコメントが相次いで寄せらているという記事が飛び交っていたのだった。スターバックス愛好者ではない私はセイレーンさえ生き延びれば、文字など消えても構わないと思っていたが、あれからそれどころではないことが次々と起こったせいもあって、そんなこともすっかり忘れていた。今日、一仕事終えてたまたま入ったスターバックスエスプレッソを注文して、やれやれと一息ついたときに、カップのロゴが目にとまり、好きなセイレーンを改めてしげしげと眺めていて、なぜか写真を撮った。そのときはまだ気づいていなかった。後でその写真を見て、それが変更発表以前の文字入りの古いロゴのままであることに気づいた。あれ? どうなってるの? セイレーンが消えなければ文句はないのだが、ちょっと気になった。