Capri again, reacting to Marchand's images of the bloody sirene:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、8月218日目。


Day 218: Jonas Mekas
Monday August 6th, 2007
4 min. 53 sec.

ah! Capri!
now you see it
now you don't!
and have you seen
the color of Mediterrania?
here it is!

ああ!カプリ
ほら見える
ほら見えない!
地中海の色を
見たことある?
さあこれだよ!


6月5日の古い映像の中で、メカスと子どもたちはペーター・クーベルカの案内でカプリ島を散策した。今日のフィルムがいつ頃のものかは不明。でも、やはりクーベルカが案内役で、ナポリのどこかから、ナポリ湾に浮かぶカプリ島を遠望し、その美しさに感嘆の声を上げている。

6月5日のフィルムの中でメカスが、オデュッセウスユリシーズ)の物語を引き合いに出しながら語った

そうだ、ユリシーズ。お前は耳を閉じた。でも俺は耳を閉じないぞ。歌い続けよ。歌い続けよ。耳も、すべての目も開く。
・・・
お前の秘密は分かったぞ。すべては私を通過する。空気のように。でも。お前の歌は私には届かない。

における「お前」とは、CUSCUSさん(id:cuscus)からのコメントで「セイレーン」に違いないことが分かり、そして「秘密」とは、「そこに留まれ」と誘惑する美しい「歌」(それは島かもしれないし、ワインかもしれないし、女かもしれない・・・)であろう、ということまでは分かった。

しかし、今日また「セイレーン」そのもののような美しい島カプリの記録を出してきたメカスの意図は何だろうかと考えていて、そうか、昨日のヴィルジニー・マーシャンの「人魚姫(mermaid, sirene)」とは正にセイレーンではなかったかと気づいた。あるいは、マーシャン自身が。ただしマーシャンの描くセイレーンは歌を歌わず、しかも「血まみれ」だった。

血まみれのセイレーン、というメッセージを受けて、メカスは再び「カプリ島」を出した。メカスは何を伝えようとしているのか。

今日のフィルムの最後には、メカスは絶壁に打ち寄せては返す波の不思議な運動を見詰め続けている。波はダイレクトに反射せずに、左右から細い流れがお互いに近づいてきて衝突すると同時に波となって返して行く。波、波動、ウェーブ、「生命の曲線」が誕生する瞬間を見せられているような気持ちになる。