「風の旅人」が置いてある喫茶店で




サッポロ珈琲館、西区琴似2条2丁目


店先の立て看板にモンブランワッフルの美味そうな広告写真が貼ってあった。栗好きの私は、歩き疲れていたこともあって、ふらふらとその喫茶店に入った。すると、入口近くの棚の下段の端に雑誌『風の旅人』のバックナンバーが数冊平積みしてあるのが目にとまった。軽い衝撃を覚えた。薄らと埃に覆われていた。長い間手に取る人もいなかったのだろう。思わずしゃがみこんでしばらく表紙を眺めた。手に取って開くことはなかったが、『風の旅人』にまつわる記憶の頁が猛スピードで捲られていった。一陣の風が体の中を吹き抜けていったような気がした。こんな風に、出逢いの記憶が更新されることもある。『風の旅人』が昨年の今頃、第44号を節目に休刊したのは、編集長の佐伯剛さんの苦渋の選択だった。そして今年の夏、佐伯剛さんは「かぜたび舎」を設立し、『風の旅人』復刊に向けて動き出した。


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