美しき天然

美しき天然, 8:33

空にさえずる鳥の声
峯より落つる滝の音、
大波小波とうとうと
響き絶えせぬ海の音、
聞けや人々面白き
此の天然の音楽を。
調べ自在に弾き給う
神の御手の尊しや。
……


ある年代以上の人にとっては(昭和32年生まれの私はギリギリ)聞き覚えのある旋律だと思う。サーカスのジンタやチンドン屋でおなじみの曲「美しき天然」(田中穂積作曲、武島羽衣作詞)。もっとも、若い人たちは、阪神・淡路大震災を機に生まれたソウル・フラワー・ユニオンの別働隊チンドン楽団ソウル・フラワー・モノノケ・サミットがカバーした曲としてなじみがあるかもしれない。しかし、こんな詩がついていたことを知る人は少ないのではないか。これが、姜信子さんが自らの旅の人生をそこに重ねながら、その跡を辿った、佐世保で生まれ、朝鮮半島ソ連極東、中央アジアと、海峡を越え、国境を越え、大陸を横断した、高麗人の追放と流浪の語られざる歴史=記憶を包み込むようにして彼らの日々の暮らしに寄り添った歌の原型である。誰のものでもなく、誰のものでもあるような人口音声がなぜかこの物悲しい旋律と遠くに思いを馳せる歌詞に相応しい気がした。


YouTube上には他にも様々なバージョンの「美しき天然」の動画がアップされているが、その中には、アメリカのジェン(Gen)おばあさんが薄れた記憶をたぐり寄せながら歌うものもあった。


Gen sings a Japanese song from her childhood, 0:40


2009年4月17日にアメリカ国籍の31歳の男性リック(Rick)がこの動画を投稿した。ジェンおばあちゃんは、子どもの頃日本のどこかで暮らしたことがあるのだろうか。それとも、、。ジェンおばあちゃんは一体いつどこでこの歌を聞き覚えたのだろうか。詳しいことは分からない。


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