知恵の輪のようなレンズの仕組み


MINOLTA AUTO ROKKOR-PF 55mm F1.8(1958)。背景はNEW YORK DIARIES 1609 TO 2009 edited by Teresa Carpenter(Modern Library, 2012)に収められた、「午前2時、詩人だけが女から自由だ」で結ばれる1950年10月18日のジョナス・メカスの日記、341頁。


気に入っているレンズを分解した。眼球で言えば、光の量を調節する虹彩と瞳孔に相当する絞り羽根が動かなくなったためである。専用の道具なしでも、小型のドライバー等で比較的容易に分解することができた。埃や劣化したグリースによる汚れを落とすこともできた。分解してみて、絞り羽根が動くメカニズムも分かった。ところが、バラバラになった部品を元通りに組み立てることができない。特にヘリコイドと呼ばれる螺旋溝によって前後に移動させるための二つの鏡胴と他の部品との噛み合わせ方が、まるで知恵の輪のようで、考えられる噛み合わせ方をひとつずつしらみつぶしに試してみたが、あと一歩のところでうまく納まらない。今ちょうど午前2時。「詩人」ではないが、そろそろレンズから自由になろう。