出来合いの収納グッズ、特にプラスチック製のものが好きではない私は、紙製の空き箱を収納に使っている。捨てずにとっておいた空き箱は放っておくと塵同然で邪魔にもなるが、ある程度用途を決めて使い始めると俄然生き生きとした表情を見せ始めるから愉快だ。空き箱はサイズとデザインと作りの堅牢さの程度によって使い分けている。例えば、極小の箱には植物の種子が入っている。小さな白い箱には年賀状を年度別に分けて収納し、小さな色のついた箱には、その他の郵便物を年代別あるいは送り主別に分けて収納している。中ぐらいの深めの箱の場合には、古風なデザインの箱には祖父母の代の古い写真、シンプルなデザインの箱には父母の代の写真を、というように古い写真を世代別、さらには大雑把に被写体別に分けて収納してある。いわゆる菓子缶(空き缶)には祖父の形見の小物を収納している。また、年賀状の入った十数個の箱はそのまま重ねておかずに、小ぶりの段ボール箱に収納している。段ボール箱は書類や各種パンフレットや新聞の切り抜きなどのファイルを収納するのにも使っている。まだ多くの箱が空っぽのままだが、用途はほぼ決まっているので、本棚のあちこに用途別に分けて置いてある。目をやる度に「早く使ってくれ」と訴えかけてくるような気がする。こうして収納箱に生まれ変わった空き箱を、写真関係、郵便物関係、仕事関係、旅行関係などに緩やかに分けて、本棚の随所に置いている。本棚のどの場所に置かれているかによって、箱の中身がだいたい分かる塩梅である。しかし、それでも忘れっぽい私は箱の中身が思い出せなくなる恐れが多分にあるし、私が死んだ後の家族にとっても箱の中身が一目で分かる、できるだけ簡潔な目印を工夫しておく必要があるのではないかと思い始めた。今のところ、年賀状など年度別の分類が適したものの場合には年号スタンプを押した小さな付箋を箱の上面と側面に貼ってあるので大丈夫だろうが、その他はどうしたらいいか思案中である。短い言葉にするか、それともピクトグラムにするか、はたまた、、。