資本主義と会社

経済学者岩井克人さんは「ポスト産業資本主義の時代」としての現代では、経済の中心が、明らかにお金から人間へと移っていると指摘する(7/25朝日新聞朝刊インタビュー記事「資本主義と会社」)。

利益の源泉が、お金で買えない人間の頭脳に移ったことによって、お金は確実な投資先を失ってしまった。だからこそ、少しでも良い利ざやを求めて、お金が世界中を動き始めた。それが世に言う「金融革命」であり、「グローバリゼーション」なのである。(中略)
資本主義の中核をなす会社とは、たんなる企業ではなく、法律の上で人として扱われる法人企業のことだ。本来人間ではない法人が、現実の経済の中で人間として振る舞うためには、それを人間のように動かす生身の人間が必要となる。それが会社の経営者だ。

そして現在、会社を人間のように動かす原理のようなものとしての「倫理」が逆説的に要請されるに至った経緯を概説し、新しい会社のあり方に関する研究を開始したところだと岩井さんは語る。しかし私はなぜ岩井さんが”トヨタ”には言及しても”はてな”には言及しないのかが不思議でならない。単に知らないのか、それとも特別な理由、あるいはITベンチャーへの偏見があるのか。私の見るところ、”はてな”は正しく岩井さんが指摘するたんなる「金融革命」と「グローバリゼーション」を超える「倫理」と「新しさ」を兼ね備えた会社なのに。