新潟県新潟市の亀田製菓が製造している「旨味醤油 まがりせんべい」が我が家では評判がいい。私も好きだ。謳い文句は「カリッとサクッとかるーい食感!」。その通りだ。昨晩残りの一枚を食べてしまったので、実物はお見せできないが、薄手の生地が波打っている丸い煎餅。その「まがり」具合が形態的にも何とも言えず味わいがあり、食べても旨い。
いつもはちゃんと見ずに捨ててしまう一枚毎の包装を初めてちゃんと見た。するとそこには「まがりの手帖23頁 マガリーヌ」とあるではないか。マガリーヌって?そこにはこんな豆知識が印刷されていた。
マガリーヌ。人によって発音は異なるけれど、パンに塗る「マーガリン」をフランス語で読むとこんな感じ!?ギリシャ語の「真珠(マーガライト)」が語源で、製造中にできる脂肪の粒子が真珠のように見えたことから、この名前がついたそうです。
ん?「まがりせんべい」と何の関係があるんだ?そうか、分かった。これは「まがり」から「まがりーぬ」への「音の連想」(駄洒落)による話題の拡張だ。しかもその内容が、語源的にギリシア語にまで遡及リンクし、「製造中にできる脂肪の粒子が真珠のように見えた」というイメージ喚起力豊かな表現からは「マーガリン」の隠された姿を垣間みた気にさせられる興味深いものだ。明日から朝食のトーストに塗るマーガリンを見る度に、「真珠」を連想しそうだ。
「まがりの手帖23頁」という表記が気になって調べてみたら、亀田製菓のホームページに「まがりの手帖」コーナーがちゃんと設けられてあった。
手帖はすでに40頁になっている。どれも面白い内容である。そしてすべてが「まがり」、「まがる」になんらかの関係をもった話題である。多様な「まがり」への柔軟な眼差しには、「まがりせんべい」を製造販売している人たちの商品に対する深い愛情さえ感じられて、とても気持ちがよい。例えば、「28 虹の色」では、「虹の色」と「光のまがり」の関係が分かりやすく書かれている。他にどんな「まがり」ものがあるか想像してみることも楽しい。鮭のある種の呼び名に「ハナマガリ」があることを思い出した。(亀田製菓の「まがりの手帖」担当者さん、今度取り上げて。)
「まがり」は「まっすぐ」に比べてあまり良くないイメージももつ言葉だが、時には、そして本質的には「まがり」の方が大切であるような気がする。一点に向かってまっしぐら、ほど時には怖いことはない。
まがりせんべいのお陰で、色んな「回り道」、「曲がり道」を許し許される社会こそが真に豊かな社会であり、回り道したり、気になった角々で曲がってみることが、自分も世界も豊かにする歩き方ではないか、などと大きなことまで考えることができた。得した気分。
これも回り道、曲がり道?