メール・プラー風オムレツ:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、26日目。


Day 26: Jonas Mekas

Friday Jan. 26, 2007 12 min. 35 sec.

A lesson in how to
make and serve
Omelette de la mere
Poulard, filmed in
Mt.Saint Michel.
With Peter Kubelka.

メール・プラー風オムレツ
作り方と給仕法を学ぶ。
場所はモン・サン・ミッシェル
ペーター・クーベルカと一緒に。


モン・サン・ミッシェルのホテル・メール・プラーの古色蒼然とした調理場で、ノルマンディー名物のオムレツが作られ、給仕されるまでの、ワクワクする時間が映し出される。芳醇なバターの香りと新鮮な卵の風味が伝わってくる。若い女調理人が大量の卵の生地を見事にリズミカルにホイップする。鉄製の泡立て器とボールがかち合う音が非常に心地よい。これでもか、とかなり長時間泡立てられた卵の絹のような生地が、新鮮なバターをタップリ入れて熱した大きなフライパンに注がれ、ふっくらと焼き上げられる。焼き係は力のありそうな男の調理人。火力はなんと、高く焔を上げて燃える薪を鉄板で囲っただけの古い薪釜だ。メール・プラー風オムレツはそんな野生の焔に焼かれて出来上がるのだった。皿に盛りつけられ湯気を上げるオムレツからは、コロポックルのようなふっくらとした音楽さえ聴こえるようだ。んー。旨そう。食いたい。(関口さんは食べたことあるんだろうな)。週末には一度オムレツ作りに挑戦しよう。

この世界一と言われるオムレツが作られ、食べられるまでの時間と空間には、人間が幸せに生きるための知恵が一杯詰まっているように思えた。おいしいものをおいしく食べるという至極シンプルなことの中に、精魂や丹精を込める何段階もの複雑な知恵が継承内蔵されている、そしてそこには深い宇宙観、自然観、人生観が織り込まれている、と直観させられた。ただ、カロリーはかなり高そうだ。