鎮魂の雪

一夜明けて、晴れ上がった空の下、新雪に覆われた町並みが眩しい。

一昨日亡くなった知人のご子息の葬儀に参列する準備のため、いつもよりすこしピッチを上げて、こういう場合に辿ることにしてある短いコースを散歩する。まだ二十歳だった。昨日までの雪は鎮魂の雪でもあったのだなと思う。そんな雪の跡。


ツララを探す余裕はなかったな、と思った矢先、最後の曲がり角に建つ古い家の三角屋根から、音楽の聴こえてきそうな一瞬鍵盤のようにも見えたツララが目に入った。しかし、風太郎にひっぱられてピンぼけ。

鎮魂の雪のことを「〜雪」というのだということを昔聞いた記憶はあるのに、その「〜」がどうしても思い出せなくて、昨晩は遅くまでサーチしたが、結局見つからなかった。娘が使っている電子辞書にも載っていなかった。その言葉を初めて聞いたのは、20年以上前、学習塾のアルバイトをしていた大学院生のころに、教え子の一人が亡くなった日のことだった。受験を間近に控えた十五歳だった。その日も大雪だった。どなたか、ご存知ありませんか?