小説のなかの猛毒の由来

Daturaを調べていて、「サイケデリック歌謡R&R」なバンドDATURAのリーダーであるサファイアのブログDATURA - SAPHIRE BLOG -に出会った。そこで、バンド名「DATURA」の命名の由来が、私も好きだった村上龍の小説『コインロッカー・ベイビーズ』の中に出てくる猛毒の名であることを知った。

2007年3月22日のエントリー「コインロッカー・ベイビーズ。」サファイアは書く。

DATURA」てぇのは、村上龍の小説「コインロッカー・ベイビーズ」の中に出てくる猛毒の名前だ。/この小説を読んだのは24歳の頃だから、もう15年も前だな。村上龍特有の破壊と狂気の美学が貫かれた初期の名作だ。/ダチュラ、という響き。言霊。排他的にして退廃的。背徳と破壊と反逆。R&Rであり、パンクであり、グラマラス。そしてサイケデリック。かなりインパクトがあって気に入っている。

サファイアは興味はないかもしれないが、村上龍はそれがチョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)の学名Daturaダチュラ)だと知っていていたはずだ。私が毎朝散歩で見ている植物だ。

村上龍にかぎらず、毒草は同時に薬草でもあるという人間にとっての薬/毒の境界の曖昧さは、文学的想像力をかなり深いところで刺激し続けてきたのではないかと思う。特に死のイメージを引き寄せる力を持つ毒草のイメージは、読者を死へと仮想的に接近させることによって、逆に生の脆さ、危うさ、奇跡的な有り様を照らし出すイメージの源泉として利用されるのではないかと思う。