Naples:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、10月16日、289日目。


Day 289: Jonas Mekas
Tuesday, October 16th, 2007
5:43 min.

the very top of
Naples -- flowers --
Mora's wine
cellar ---friends ---
night --

ナポリのてっぺん。
花々。
ブラックベリーのワイン・セラー。
友達。
夜。

10月7日につづく、五回目のナポリ。おそらく十数年前の映像。ペーター・クーベルカPeter Kubelka, 1934-)の案内で、低い山のジグザク道を登るメカス一行。斜面一帯が博物館の庭だという。メカスが黄色い果実を見つけて何の果物か訊ねる。レモンだよ。レモンか。レモンの庭さ。暑いな。(笑)

見晴し台からナポリ市街を見下ろす一行。クーベルカがメカスに話しかける。あれが見える?サンタ・キアーラ。コンサートをやったところさ。緑の屋根の?そう。移動コンサートだったよ。ぼくらは回廊、図書館、修道院の台所で演奏してから、外に出て、中庭で演奏した。夜の大聖堂での二時間のコンサートは大入り満員だった。素晴らしかったよ。

メカス一行が登っている山には何かの遺跡が点在しているように見える。緑に覆われた石の建造物が部分的に露出しているようだ。しかし、メカスは遺跡には興味を示さない。道端の植物ばかりにカメラを向けている。黄色い花、白い花、深紅の花、薄紫の花、別の黄色い花。それにクーベルカ以外の同行者の顔をまともに写さない。4月1日トリノで一緒だったケネス・アンガー(Kenneth Anger, 1927-)らしき人物が遠目に見えるがはっきりしない。

頂上近くの開けた場所に着いたメカスは市街地と港にカメラを向ける。振り向くとワイン蔵らしい粗末な小屋がある。その前でクーベルカはすでにグラスを手にしている。次の瞬間、メカスはその小屋の中にいて、洞窟のような蔵を覗き込んでいる。石の階段を下りたところの壁に二つの大きな横穴が開けられ、そこにワインボトルが寝ているのが微かに見える。メカスはワインの入った小さなグラスを左手に持ち、小屋の出口に向かう。テーブルにはボトルに入ったワインが置かれている。

ワインといっても、イタリア語でモーラというブラックベリーを発酵させたもののようだ。ちなみに、ブラックベリークロイチゴとは別種である。

そういえば、「夜」のシーンはなかった。