欧文書体のサンセリフ系のうち、以前からオプティマ(Optima)になぜか惹かれるところがあった。調べてみて、その理由の一端が分かった。
書体の分類上、一般的にはセリフのない活字書体であるためサンセリフに分類されるが、他の多くのサンセリフ体とは異なり、縦線と横線の太さが異なり、縦線のほうが太い。そのため、エレガントさとシンプルさを兼ね備えた独特の美しいフォルムにより愛されている。*1
つまり、オプティマは限りなくセリフに近いサンセリフ、もっと言えば、境界線上にある書体なのだ。境界に惹かれる質(たち)なのである。オプティマはドイツの書体デザイナー、ヘルマン・ツァップ(Hermann Zapf, 1918-)による設計(1950)だが、一昨日紹介した書体デザイナー小林章氏がオプティマの改刻に携わっていたことを初めて知った。
2003年には、ライノタイプ・ライブラリ社から、改刻されたOptima Novaが発表された。このOptima Novaのデザインはツァップの協力のもと小林章によって行われた。フルティガー(Frutiger)の改刻版 Frutiger Next と同じように、オブリーク(光学的な斜体)ではなくきちんとデザインされたイタリックが用意され、細部にわたるデザインの質の向上が図られている。*2
小林章氏自身によるOptima Novaに関する解説はこちら。
その中で、オプティマの設計思想も語られている。
フーツラ(Futura)のようなサンセリフ体とボドニ(Bodoni)のような古典的なローマン体との中間の書体を開発したいという発想のもとにオプティマは制作されました。通常のサンセリフ体に見られる直線の連続からくる単調さを避けるために、画線は微妙なカーブを持たせています。これはオプティマ書体ファミリーに共通する特徴であり、これがオプティマのデザインの優雅さを際立たせます。
「中間の書体」。
これをローマン体の側から「セリフレス・ローマン体」、すなわち「セリフ(髭、飾り)」の無いローマン体と呼ぶこともあるらしい(書体の基礎知識 欧字書体編)。