自分は人生のどん底にいると感じていたかつての私への手紙

人生のどん底についてよく考える。そのときどん底だあ、と思った世界はちょっと視点をずらしただけで全然どん底じゃなかったりする。でも、自分の力だけでは、なかなかそのことに気づけない。振り向きさえすれば、ドアは開いていて、そこから檻の外に出られるのに、振り向くことができない哲学者のように。

いつでもどこでも自分がそのときいる場所を最高のパラダイスだと思い込める能力を人間は与えられた。そう考えることがある。昔デカルトという哲学者は『情念論』を書きながら、そんなことを考えたようだ。カミュという作家もまた『シジフォスの神話』を書きながら、それに近いことを考えていたようだ。

もちろん、自分をそんな場所に追い込む社会のあり方が悪い、間違っている、なんとかしなきゃ、という発想で考えて行動する自由もある。しかし、その場合に一人の力でできることは限られている。だからこそ、今やネットが...

一人でも出来る「革命」は心の中の革命だと思う。そして自分が今いる場所を感じる身体を耕すことだと思う。これは色んな風にパラフレーズできるだろう。お任せする。

都会じゃ、そんなことは無理に決まってる、というあなたへ。

 ジョナス・メカスはニューヨークでそれをやったんだよ。

ニューヨークだからできたんだよ、というあなたへ。

 三上勝生は札幌でそれをやっているんだよ。

札幌だからできるんだよ、というあなたへ。

 あなたなら、今いる場所でできるよ、きっと。

これ以上、言わせないで...

(イマイチ)