毎朝、異邦人のように目ざめる私は

毎朝、異邦人のように目ざめる私は、記憶の海の汀に打ち寄せる安全な波と戯れて遊んでいる子供みたいなもんだと思う。mika_kobayashiさんEmmausさんのように、本物の海で、沖に出て、波に揉まれ、風を受けて、全身全霊でルバート、冒険してみたい。スケボーじゃ詰まらなくなってきた。

昨日のこと、ボタッ、ボタッ、と大切な何かを告げるような大きな音がして驚いて振り返ると、アスファルトの上には黄色の果皮をかぶったクルミの実が二個あった。辺りを見回すと皺くちゃで黒ずんだ果皮のクルミの実があちらこちらにあった。雨の中、黒地に小さな白の水玉模様の長靴を履き、黄色い傘をさした婦人が黙々と落ちたクルミの実を拾っていた。「クルミですね?」と声をかけ損なった。それから、どこから運ばれてきたのか、まだ若い明るい色のトゲトゲの栗の実が通学途中の生徒たちに蹴飛ばされて、笑いながら転がって行ったかと思ったら、半ば乾涸びたミミズの屍骸の傍で停止した。

札幌、晴。風太郎は昨夜も今朝も餌を口にしなかった(その後、昼にはちゃんと食べたと家人から知らせがあった)。水は飲む。脱水症状は見られない。ぐったりはしていない。散歩に行く気力を見せる。いきなりいつもとは別の道を行きたがる。数年前までの古い散歩コースだ。なぜか分からない。しかし、やはり体力をすぐに消耗してしまうようで、途中で諦めて折り返すようにしてお気に入りのサフラン公園に向かう。ゆっくり、ゆっくり、と。途中、幼稚園の送迎バスを待つ母子3人に出会う。丸い麦わら帽子を被った園児がお兄ちゃん。出会うのは三度目くらいか。「おはよう! フーちゃんだよ」ベビーカーの弟くんが眼をまんまるにして風太郎を見つめていた。「ライオンだよ」とからかうのは止めた。サフラン公園ではサフラン・クラブの面々の姿が見えないな、と思っていたら、奥まったところの木陰にある東屋に6人が集まっていた。軽く会釈して皆さんと笑顔のサインを交換する。公園のできるだけ端っこ、隅っこを選んでゆっくりと半周する。オオバボダイジュ(大葉菩提樹, Tilia maximowicziana Shirasawa)の球果にみとれる。風太郎は水飲み場でけっこうな量の水を飲んだ。クイーンには出会わなかった。

帰り路、藻岩中学校裏門横のプラタナス(紅葉葉鈴懸の木, London plane/Sycamore, Platanus acerifolia)が、またもや、しかも昨年よりも随分早く、強く、剪定されているのに気づく。やっとこれくらい伸びていたのに(→ 写真)。近所に見咎める住人がいるかいたのだろう。この町では木陰や風情は優先順位がかなり低い。

風太郎は今朝も決まった場所の同じ種の草をすこしだけ食んだ。まだ確証は得られていないが、たぶんキクイモ。