トランペットのロングトーン、四個のドングリ

夕方になるとどこからともなくトランペットやトロンボーンロングトーンが聴こえてくる。裏山をひとつ越えた高台にある高校の吹奏楽団の部員が個人練習しているだろう。特によく聴こえるトランペットの音は十年来の耳に馴染んだ夕方の音の風景の主役になっている。気に入っている。今日は土曜日。午後の早い時間からトランペットのロングトーンが聴こえていた。

散歩がてら最近心惹かれているドングリを拾いに行った。

ドングリ(団栗)はブナ科のクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実(正確には種子ではない)の総称で、狭義にはクヌギの果実を指す。内部の種子の大部分を占める子葉はデンプン質に富む。ドングリは樹種により多様な形状があるが、一つの種類に属しているドングリ複数個を並べて比較した場合、いずれの樹種であっても形状はほぼ同一である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA

ドングリを探しながら、高校のある高台に通じるゆるやかにS字曲線を描く坂道を登った。坂道の片側に広がる林にミズナラがたくさんありそうだったから。道端に落ちたドングリを見つけるのは難しくないだろうと高を括っていた。しかし、行けども、行けども、ドングリは落ちていなかった。クルミの実はたくさん落ちている。諦めかけたころ、ようやく見つけた。でも四個だけだった。どれも個性的だ。同じミズナラのドングリでもこんなに違うもんなのかとちょっと感動していた。


気づいたら、高校の校舎やグラウンドを見下ろす場所に出ていた。


ああ、あそこで毎日練習していたのか。「がんばれよ」