聖なる生業



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佐川光晴著『牛を屠(ほふ)る』(解放出版社、2009年)が非常に面白かった。内澤旬子の労作『世界屠畜紀行』(解放出版社、2007年刊)も面白かったが、ある意味でそれ以上に面白かった。大宮市営屠畜場での十年半におよぶ体験に基づいて、あくまで「屠殺」という言葉にこだわる佐川光晴は、誰もが嫌がる「穢れた仕事」にあえて我が身を浸し、生きるために殺すという絶対的矛盾が露呈する現場をくぐり抜けることで、「向こう側」から生、命を照らす。


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