すっとこどっこい


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イングランドよりもウェールズや特にスコットランドアイルランドは言うまでもなく)に惹かれる私は思わず買ってしまった。富田珠己『スットコランド日記』を。「スコット・ランド」ではなく「スットコ・ランド」です。「すっとこな土地」です。「すっとこ」はご存知のようにあるいは死語かもしれませんが「すっとこどっこい」の「すっとこ」です。「すっとこ」は「裸体」、「どっこい」は「どこへ」を意味し、「すっとこどっこい」は裸同然の格好でうろつく怪しい者を罵しる言葉、「バカやろう」に近い意味の言葉だったそうです(http://zokugo-dict.com/13su/suttokodokkoi.htm)。この本を買ったのは、題名が秀逸なアナグラムであるからというだけでなく、著者の富田さんのモットー「いつだって前向きに後ろ向き!」という言葉に目と耳の奥が敏感に反応したからでもあります。しかも「日記」というスタンスをどう料理しているかに非常に興味があるからです。なぜなら、「日記」は料理次第でいかようにも変貌すると思っているからです。どんなに高尚そうで偉そうな書物も、畢竟、日記(の延長)にすぎないという持論もあるからですが、同じ理由から「聖なる怠け者の冒険」のような一見軽快な新聞の連載小説なんかにもその行間に自然と「日記性」を嗅ぎ付けようとしてしまいます。さて、『スットコランド日記』は2008年4月7日(日)から2009年3月30日(月)までの「春夏秋冬」の日記をカヴァーしています。私もまたこのブログ上で「すっとこどっこい」と罵られても仕方のない生きざまを晒しているので、日付を対照させながら、この本とゆっくり付き合いたいなあと思っています。