スコットランド、キューバ

不思議な縁でロンドンから逃れて<北の大地>、スコットランドのピトロクリに導かれ霊感を得た漱石が著した『草枕』を愛読したグレン・グールドの<北>への志向性を引き受けてグリーンランドに飛んだのは坂本龍一だった(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20090421/p3)。


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 十数年前、グールド晩年の愛読書が「草枕」であったことが日本のファンの前に知らされた時、その組み合わせとしては興味を引いたものの、正直、へえっという意外性への感心で終わった人が多かったように思う。グールドの似合う雪原や針葉樹のカナダの風景と、熊本の小天温泉がどうして重なることになるのか、面食らった人も多かったのではないか。
 カナダと小天をつなげようとするから、訳が分からなくなる。この間に、スコットランドのピトロクリを置けば、グールドと漱石の接点は、ずっと理解しやすくなるように思う。
 (中略)
 グールドはまた、日本に来たこともなかったし、東洋のどの国にも足を伸ばしたことはなかった。
 それでいながら、二人の芸術家は、驚くほどに、響き合い、唱和を見せている。
 漱石とグールドの間に、ピトロクリの谷がある。

 (多胡吉郎『スコットランド漱石』88頁〜89頁)


北の街サッポロにも「没落先進国」キューバの鼓動を伝える店ハバナがある(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20081103/1225717485)。


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地球環境を破壊しない
つつましい生活を送りながら、
同時に医療、教育などの
人間開発指標も満たす。
まさに二律背反するかに見える
この両基準を満たす国は
今のところ地球上に
ただ一カ国しかない。

キューバ

 (吉田太郎『「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ』ii〜iii)



 「世界で最も持続可能な国をあげるとしたら、どの国をあげられるだろうか。もし、スウェーデンデンマークを脳裏に浮かべられたとしたら、はずれだ。世界自然保護基金WWF)が、この地球上で持続可能な開発の要件を満たす唯一の国としてあげたのはキューバなのだ」(同書13頁)

 

子孫にツケを払わせることなく、同時に国連開発計画が平均寿命、識字力や教育水準、一人当りのGDPから割り出した0.8以上の人間開発指標もクリアーする。両基準を満たす国は今のところ地球上に一カ国しかないのだ。(同書14頁)