私はいつも外側を見ている、
内側を見ようとして、
何か本当のことを言おうとして。
でも、本当のことなど
ないのかもしれない。
外側に存在するもの以外には。
そして、外側に存在するものは、
絶えず変化している。
ロバート・フランクの写真が物語っているように、たしかに、写真は変化し続ける世界を内と外に境界づける膜のようなものなのかもしれないなと思う。私のような素人が撮る写真には分厚い濁った膜がかかっている。ロバート・フランクの写真は膜を濡れた手拭いできれいに拭い去ってしまったような、内と外の境界が消失しているような印象を強く受ける。ロバート・フランクはいつも「外側」を通して「内側」を見透かしていたに違いない。
ロバート・フランクの『The Americans』からおよそ35年後に藤原新也はほぼ同じルートを辿ってアメリカを一周し写真を撮り続けた。藤原新也の『アメリカ』とその姉妹編の写真集『アメリカン ルーレット』は、ある意味では、藤原新也による『The Americans』に関する膨大な注釈かつ大胆な翻訳でもあると思えてきた。
『アメリカン ルーレット』二葉目の写真部分
『The Americans』の最も有名な一葉「U.S. 285, New Mexico」部分