スーザン・ソンタグとパティ・スミス


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木幡和枝訳、スーザン・ソンタグ著『同じ時のなかで』(NTT出版、2009年)。

安寧は人を孤立させる。孤独は連帯を制限する。連帯は孤独を堕落させる。(339頁)


まるで多元連立方程式のように命題を連打して、ソンタグは自身をどこにどう位置づけようとしていたのだろうか? 「安寧」がどんな犠牲の上にかろうじて成り立つものにすぎないかを知れ。そんな安寧のなかでは、人は真に連帯すべき他者たちから孤立する。だから、安寧のなかでの孤独が必要になる。安寧の中での連帯は偽の連帯にすぎない。それを制限するために孤独を守れ。孤独を堕落させる連帯を孤独によって制限し、安寧の外での連帯に開かれて行くこと。閉じた輪のなかのコミュニケーションではなく、決して閉じられることのないコミュニケーションへ。

Now the universe awaits.


Have a beautiful journey Susan.
Shatter as you go.
May your new path be littered
   with the debris of many questions.
May your answers cause the stars to shudder.
Farewell.


( Patti Smith, 2004)


Shatter(粉砕), litter(散らかす), debris(瓦礫), shudder(震える),...


訳者あとがきのなかで木幡和枝は、こんなパティ・スミスによるスーザン・ソンタグ追悼詩を引用している(340頁)。「私のミッションはコミュニケートすること、、、」と語るパティ・スミスもまた、<私>という巨大な問いを粉砕しつづけ、絶えず新しいコミュニケーションの地平に身震いしながら立ち自己のかけらを散らかして歩きつづけ、問いの瓦礫の間を縫うように歌い、生きてきた。



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