帰宅途中、藻岩犠牲者の碑(北電藻岩発電所建設工事犠牲者の顕彰慰霊碑)に立ち寄った。遊歩道が整備された山鼻川の河川敷の一角にある。所番地は札幌市中央区南30条西10丁目。建立されたのは1994年6月11日。近づくと、ライラックに似た甘い香りに包まれた。何だろう? アジサイに似た白い花が沢山咲いていた。碑の背後には高圧電線の鉄塔が不気味に聳えている。碑の正面方向には北電の藻岩発電所がある。その建設工事で無惨な死を遂げた人たちの霊を慰め、悼むにはむしろ相応しい場所なのかもしれないと思い直した。そして顔のない、性別も不詳の両手を差し出したブロンズ像は羽のない天使のように見えた。非常に澄んだ美しいフォルムだと感じた。
このブロンズ像を制作したのは彫刻家の二部黎(にべれい)。応募されたイメージ案の中から採用された齋藤みよさんの「少女が労働者に水をあげるようで、また労働者からもらうような像」という案に基づいてデザインされたという(『さっぽろのタコ部屋(札幌民衆史シリーズ10)』札幌郷土を掘る会、2009年、58頁)。
建てる会が約一年にわたって議論に議論を重ね、推敲に推敲を重ねた末に漸く完成したという碑文(同書57頁〜58頁)。
ノリウツギ(糊空木, Panicled hydrangea, Hydrangea paniculata)。和紙を漉くときの糊を採ったことに由来する名前。
参照