人間の顔

着の身着のまま難を逃れ避難所で辛い毎日を生きる被災者の方々が、肉親や知人の消息や安否を尋ねたり、自分の無事を伝えたりする姿を撮影した動画を集めて紹介するYouTubeのチャンネルがある。不謹慎な言い方かもしれないが、皆さんの顔は美しい。人間の顔をしている、いい顔をしている。まるで散歩で出会って親しくなった町内の人たちのように身近にさえ感じられる。一緒に涙を流し、思わず言葉にならない声をかける。

YouTube 消息情報チャンネル(動画提供: TBS News-i)


それにひきかえ、この期に及んでまだ厚顔無恥を晒す連中の顔たるや、今更ながら見るたびに反吐が出そうになる。なんて醜い顔なんだ。こんな連中に生命と財産を預けてしまっていることの恥を知る。そして彼らにへつらっているとしか思えない連中の間抜け面も正視に堪えないほど醜い。なぜ、最前線に送り込まれ、「私たち」のために底知れぬ恐怖や絶望と戦っている人たちの名前も顔も知らされることがないのか。彼らひとりひとりの顔が見たい。その声を聞きたい。無名のままでいいはずがない。彼らは美しい顔、人間の顔をしているはずだ。


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