雨の昼下がりに「蓮の花」の歌を聴く

水清き沼に 黄金の
蓮の花 一輪
泥の中より生まれし
その清らかな姿
人知れず咲けども
際立つ美しさ
その美しさに引かれ
群がる虫ども
どの虫がこの花を
射止めるやら

  山崎剛太郎訳


マルグリット・デュラス監督の映画『インディア・ソング』(India Song, 1975)冒頭で、女が未知の言語で歌う「蓮の花」の歌声が好きだ。上に引用した山崎剛太郎による日本語字幕から歌われている光景を想像する。残念ながら、私には日本語から立ち上がるイメージと原語から立ち上がるイメージとの差異を測ることはできはない。原語固有の連想の広がりは想像を越えている。歌に続けて聞こえてくる同じ女の同じ未知の言語の語りには、「インド人ではない。サバナケットの生まれ」という字幕が流れる。語りは唐突にフランス語に切り替わり、「サバナケット、ラオス」と明瞭に聞き取れる。未知の言語はラーオ語(ラオス語)だろうか。とにかく、「蓮の花」の歌声は美しい。


参照


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