ジョナス・メカスの囁き


‘On Churches and Light’ from Jonas Mekas' Diary, July 10, 2012


まるでゲーテのように、光が恋しいと吃りながら囁くメカスの声に耳を傾ける。即興の詩のようでもある。何度も聞いているうちに、声から直に変化に富んだ川のような流れが見えるように感じられてくる。穏やかな流れが急に勢いを増し、轟音を発するかと思えば、次の瞬間には、小川のようなせせらぎが聞こえる。音楽のようでもある。


抄訳。

まだ電灯がなかった時代の教会は、太陽、灯油、蝋燭の光にあわせて設計されていた。近頃の電灯によって明るく照らされた教会の中を歩いても、退屈なだけだ。古い教会のことを思う。影や闇が恋しい。光の変化が恋しい。電灯は本物の光ではない。陽光とその変化こそが本物だ。たしかに電灯は奇跡だ。だが、神秘的ではない。空間に美をもたらす光の神秘が恋しい。光が恋しい。光が恋しい。