Be idealistic, don't be practical, Oona/Una:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、7月、201日目。


Day 201: Jonas Mekas
Friday July 20th, 2007
7 min. 10 sec.

Life & Food in
Venice, with Peter,
Sebastian and Oona ---

ヴェニスでの
人生と食事。
ペーター、セバスチャン、
そしてウナと。

ヴェニスの運河をゴンドラで遊覧し、クーベルカの案内で路地を巡り、そしてとあるレストランで食事する一行。
ペーター・クーベルカウェルギリウスさながらのガイド役に徹していた6月5日カプリ島散策と同じ頃のようだ。十代前半頃の息子のセバスチャン(Sebastian, 1981-)と、やっと名前が出た、十代半ば頃の娘のウナ(Oona)。変わった綴りだ。リトアニア名由来か。7月11日にもっと幼い頃の娘の笑顔を撮りながらメカスが呼びかけた名前をちゃんと聞き取れないまま「ルナ」と記録したが、「ウナ」が正しかった。ウナが魚料理を苦労しながら口に運ぶ様子がとても微笑ましい。クーベルカがフォークの使い方を指南している。「とても美味しいわ」とウナ。最後にクーベルカお薦めのイカスミパスタが出てくる。子どもたちは手を出そうとしない。それじゃ、とメカスが真っ黒なソースのたっぷり絡み付いたパスタを口一杯頬張る。口の周りが真っ黒になる。「イケる」とメカス。

ウナ・メカス(Oona Mekas, 1974-)。女優、バイオリン奏者、児童文学者、ヨガ・インストラクター、そしてアンソロジー・フィルム・アーカイヴズの理事会の一員でもある。ずいぶん遠回りした。ペーター・クーベルカの娘さんかなと思ったこともあった。彼女の公式サイトOONA MEKASの扉には、父親ジョナス・メカスからのメッセージが記されていた。

"I'm talking to you, Oona.
Be idealistic, don't be practical.
Seek the insignificant small but essential qualities,
essential to life."

 Jonas Mekas,
 Paradise Not Yet Lost (1979)

「よく聞くんだ、ウナ。
目先の役に立つことに目を奪われずに
遠くを見るんだ。
誰も目を向けないちっぽけな、でも人生にとって本当に大切なものを探せ。」

 ジョナス・メカス
 『まだ失われていない楽園』(1979)*1

素晴らしい。こんなメッセージを子どもに託したメカスも、大人になってからそれを人生の導きとして銘記するウナも。こういうところも含めて「普通」であり、「自由」なのだ。改めて以下のメカスの略伝記を読んでいたら、ホリス・メルトン(Hollis Melton)との結婚や娘ウナの誕生のことなどもちゃんと書かれていた。

また、アンソロジーの建物の前でホリスが赤ん坊のウナ("Una"と表記されている)を抱く素敵な写真も公開されていた。

しかし、もちろん、メカスも再三語っているように伝記的事実としての知識は映画の真実には触れない。

*1:In 1979 he made Paradise Not Yet Lost (also known as Oona's Third Year) as a letter to his daughter and a memoir of the family's life in New York and travel abroad in Europe.(http://www.sensesofcinema.com/contents/directors/05/mekas.html