Revisit to NGC6093 by Hiro Yamagata:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、8月20日、232日目。


Day 232: Jonas Mekas
Monday, August 20th, 2007
1 min. 49 sec.

a brief revisit
to Hiro Yamagata
show -- N.Y.C.--

またちょっと訪ねた
ヒロ・ヤマガタの展覧会
ニューヨーク市

4月14日の104日目に登場するヒロ・ヤマガタインスタレーションNGC6093をメカスは後日再訪したらしい。2001年ニューヨーク、ACE GALLERYでのことだ*1。ストロボのレーザー光線を駆使して現出させられた2001年の時点でイメージされた近未来を象徴する光が乱舞する人工的異空間の中で、専用眼鏡をかけて踊り、キスする若い男女のカップルをメカスは撮り続ける。

4月14日のエントリーで私はNGC6093に関して次のように書いた。

誤解を怖れずに本質的なことを言うなら、本物のNGC6093球団星雲の写真を眺めていた方が空間的にも時間的にも想像力を深く刺激されるのではないかとも思った。メカスの本音は不明である。会場ではインスタレーションに関しては、ひと言「凄い(terrific)!」と言っただけである。そして会場でのカメラワークの様子からは、インスタレーションそのものよりも、人々の反応の仕方に関心が向けられているように感じられた。

ところで、メカスは2月3日にも1994年の「地上楽園メルセデス・プロジェクト」当時のヒロヤマガタを登場させた。そのプロジェクトでは彼はメルセデスベンツという消費社会の華のような自動車産業の象徴におもねるように見せかけて実は手のこんだ批評をそこに籠めていたのではないかと私は書いたのだが、「NGC6093」に関してはどうだろう。NASAという宇宙産業の象徴にヒロヤマガタは寄り添うように見せて、実は派手な宇宙志向的インスタレーションによって暗に宇宙開発志向を批評しているのかもしれないと不図思った。また、メカスはヒロヤマガタのインスタレーションそのものよりも、たぶん人間ヒロヤマガタに興味があるのではないかとも感じた。それについて書く準備はできていない。

今日のフィルムでもメカスが注目しているのは大掛かりで手のこんだ展示そのものではなくて、その中で人生を楽しむ客の様子である。いや、そもそもインスタレーションとは、オープン・エンドな未完の展示のことだから、会場で起こるハプニングこそが眼目なのかもしれない。その意味では、光が乱舞する空間で気持ち良さそうに踊りキスするカップルの存在こそ「未来」なのかもしれない。少なくとも難しい顔をして作品を鑑賞し、批評しようとする私のようなオヤジには未来はない、とハッと気づいた。