ジョナス・メカスによる365日映画、9月3日、246日目。
Day 246: Jonas Mekas
Monday, September 3rd, 2007
4 min. 56 sec.
I tell about my
visit to Fatima ---
Fatima candle
burning ---
ファティマ訪問
について語る…
ファティマのろうそくが
燃える…
ファティマとは首都リスボンから北へ約120km、ポルトガルのほぼ中央に位置する人口1万人ほどの小さな町。
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だが、そこはカトリック教会公認の「ファティマの聖母(Our Lady of Fatima)」の出現なる出来事(1917年)によって有名になり、現在でもローマ・カトリック系の信者を中心に国際的な巡礼地、観光地の一つである。
自宅に友人たちを招いて、ロウソクに火を灯し、「話したいことがあるんだ。昔、ファティマに行ったんだ。このロウソクはファティマで買ったものさ」と語り始めるメカス。しかし、もちろんメカスは「宗教的幻視」ともいわれるその出来事に興味があるわけではなかった。三人の子どもたち(ルシア、ジャシンタ、フランシスコ)の前に聖母マリアが出現したと言い伝えられる場所に生えていた樹を見たかったのだという。
Jacinta and Francisco Marto and Lúcia Santos in 1917*1
そもそもメカスは映画祭参加のためにポルトガルに滞在していた。ファティマに関心を示したメカスを映画祭のディレクターが喜んでみずからメカスをファティマに連れて行ってくれた。メカス以外にファティマに関心を示す映画監督はいなかったらしい。
ところが、実際にメカスが見た樹は枝葉がすべて取られた無惨な有様だったという。木の謂(いわ)れを知った観光客が樹の葉や枝までも「盗んだ」からだろう。その樹の隣には別の樹が植えられ、観光客は新しく建造された「醜い」教会に直行するようになった。その新しい樹は幸せなことに、誰も枝葉を盗もうとはしなかった。というのも、その下に聖母マリアは現われなかったから。(一同爆笑)メカスはボレックスのカメラを持ってその樹に近づき、撮影してもいいか、訊ねたという。するとその樹が答えたことには、オーケー。でもどうか人の気を引かないように撮ってほしい。隣の兄弟のように死にたくはないからね。
その「死んだ樹」のある場所は、とても、とても、特別な場所で、この惑星の上とは思えない場所だった、とメカスは述懐する。
*1:This image is in the public domain.