支笏湖西岸の幌美内(ポロピナイ)
幌美内 ほろびない、ポロピナイ
湖畔から見ると恵庭岳の右下の処の名。今は夏になると貸ボートがたくさん置いてある。永田地名解は「ポロ・ピ・ナイ。水無しの大川」と書いたが、注釈が必要である。諸地にピナイの名があるが、そのあるものはpi-nai(石・沢)であり、またあるものはpin-nai「← pir-nai(傷・沢)。えぐれたような沢」であった。支笏湖畔に数個のピナイが残っているが、どれも急斜面のえぐれたような沢でピンナイの姿である。だがこの幌美内の沢を上るとがれ石だらけの沢である。どっちだか分からない。永田氏は沢の姿から「水無川」としたがそれはアイヌ語の訳ではない。幌美内はそういったピナイの中で一番大きい沢で、恵庭岳の頂上の少し下から麓までを立ち割ったようにえぐっている。それでポロ(poro)をつけて呼ばれたのだった。
ブラウントラウト(Brown trout, Salmo trutta)とヒメマス(姫鱒, Kokanee or Silver trout, Oncorhynchus nerka)。ポロピナイの貸釣り船屋の水槽。
2006(平成17)年の日本水産資源保護協会の報告によれば、支笏湖には15種の魚類が生息する。そのうち在来種はアメマスとハナカジカだけであり、残りはすべて外来種である。例えば、支笏湖名物のチップ料理として知られるチップすなわちヒメマスは1894(明治27)年に阿寒湖から公に移殖された。ブラウントラウトは1988年頃に密放流されたと考えられている。
参照