eeniwa, itanki

14日夕刻、支笏湖畔から撮った尖った頂に特徴のある恵庭岳(Eniwa-dake, Mt. Eniwa)。

知里真志保著『地名アイヌ語小辞典』によれば、恵庭岳のアイヌ語原名は「e-en-iwa(エえニワ)」である(23頁)。eは頭、enは尖っている、iwaは山をそれぞれ意味し、eeniwaと合成されて「頭が・とがっている・山」を意味する。ただし、iwaは、元来祖先の祭場のある神聖な山を指したらしく、知里真志保氏は、その語源を「kamuy-iwak-i(神・住む・所)」に求めている(38頁)。

また、同日午前訪ねたイタンキ岬の「itanki」は「椀」を意味するらしい(153頁)。かつての自然の入り江は現在はコンクリートの防波堤で直線的に囲まれた漁港に変貌してしまっているが、私は防波堤の端っこ、岬との境界をよじ登って、下の写真のような、いにしえの「椀」の痕跡を僅かながら感じとることはできた。

偶然にも、同じ日に、何かを刺激するような尖った形態と何かを受け入れる器のような形態という対照的な土地のポイントに接することができたのだった。「Songlines(歌の道)」の記憶はまだ見えないが。