藻岩山、Mont Sainte-Victoire

毎朝、藻岩山がどう見えるか、その印象で、その日一日のコンディションがだいたい分かる。肉眼での見えは毎日変化する。そして、写真はもっと違って見える。ちょっとした光量の加減で、別の風景に見える。

不図、セザンヌが故郷南フランスのエクス=アン=プロヴァンスサント・ヴィクトワール山を何度も描いたことを思い出した。子供の頃、そして大人になって一時帰郷した1880-83の間、彼は毎日違って見えるサント・ヴィクトワール山を見ることの快楽を味わっていたにちがいない。最晩年の90年代にパリのアトリエでサント・ヴィクトワール山の実在を追体験、念写するかのように描いた絵もある。WebMuseum,Parisのこのページhttp://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/st-victoire/に掲載されている六枚のサント・ヴィクトワール山の絵を見ただけで、それが伝わってくるような気がする。

10年後、藻岩山の見えない場所に住んでいたとして、記憶のなかの藻岩山はどんなだろうかと思った。