ジョナス・メカスによる365日映画、34日目。
Saturday February. 3rd, 2007 6 min. 59 sec.
Hiro Yamagata
at work on
Earthly Paradise
Mercedes project.
Allen Ginsberg
comments
(read by Sebastian).
ヒロ・ヤマガタ
アースリー・パラダイス・
メルセデス・プロジェクト
の仕事風景。
アレン・ギンズバーグの
論評を
セバスチャン・メカスが読む。
「地上楽園メルセデス・プロジェクト」とは1950年代のメルセデス・ベンツの車体をキャンバスに見立て、アクリル絵の具で花と蝶をカラフルに描いた12台の作品を展示する企画で、94年ロサンゼルス市立美術館で開催された。後に日本でも箱根('95)や神戸('05)で開催された。公式の表向きのテーマは「産業と自然の融合」などと言われたが、ヤマガタの狙いはそんな言葉遊びにはない。
ギンズバーグがちょっと触れているように、現代産業の象徴である自動車を絶滅した恐竜の化石のようにミュージアムに展示すること、つまり現代産業そのものへの痛烈な批評がそこには籠められていた、そして「せめて」花と蝶を美しく「供える」ことを忘れなかったのではないか。一見、消費主義に迎合した限りなく華やかに軽快に見える「作品」は、実は確固たる意志に支えられた「埋葬」の手の込んだ儀式ではなかったか。
メカスのカメラはいつもながら職人の道具(絵筆や絵の具)や真剣で神経質な仕事ぶりに愛情のあふれた視線を注ぐ。とりわけ車体に咲く花々には愛でるような視線、そっと摘む仕草を連想させる視線を注いでいる。フィルムには13年前のまだ若々しいヤマガタの姿しか写っていない。その後現在にいたるヒロ・ヤマガタの仕事に対するメカスの評価は空白である。
映画『ビートニク』(1999)の製作総指揮をしたのはヒロ・ヤマガタである。アメリカン・ドリームを体現した日本人としてのヒロ・ヤマガタに関する情報はネット上に溢れている。その「勲章」は枚挙にいとまがない。そして2009年には7年越しで準備中の途方もないパーマネント・レーザー・システム・インスタレーション「バーミヤン・アフガニスタン・レーザー・プロジェクト2009」が開催予定である。破壊された仏像をあった場所に再現するレーザー光線のアート作品を恒久的(permanent)に設置するものである。そのために設置されたソーラーパネルと風力発電によって作られる電力はバーミヤンの人々の生活にも供給されるという。