空間を子宮化する音楽Dalius Naujo:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、69日目。


Day 69: Jonas Mekas

Friday March. 10th, 2007
4 min. 08 sec.

Dalius Naujo plays
drums, as a surprise
dancer makes his
entrance --

ダリウス・ナウージョ
ドラムの演奏をしていると、
思いも寄らぬダンサーが
登場する

すでに三度登場しているダリウス・ナウージョについて、1月7日1月27日には、どこか変だなと感じながら「ヒマラヤ出身のパーカッショニスト、ダリウス・ナウージョ」と書いたが、1月30日になってようやく「ヒマラヤズ(Himalayas)」というバンド名だと気づいた、というお恥ずかしい経緯があった。ナウージョだけではないが、私も初めて知る日本語情報が皆無に等しいアーティストが多く登場するので、その辺は大目に見ていただきたい。(今後も誤りに気づき次第どんどん訂正していきます。気づいたこと、おかしいと感じたことがあれば、是非お知らせください。)

ヒマラヤズの演奏する音楽は、ミニマル・ミュージックともどこかでつながると思われる、3月6日クーベルカ(Peter Kubelka)がチベット・ゴングで演奏したような、ある種の瞑想状態に人を導くチベット仏教音楽に通じるものがあると感じる。音楽の専門的なことはよく知らないので、嘘を書くことになるかもしれないが、倍音噪音に満ちた音が多方向に絶えず微分されていくような、「意味」や「イメージ」を経由せずに、ダイレクトに脳細胞というかニューロン・ネットワークに作用するため、聞いているうちに、次第に思わず身体もミニマルに動き出してしまうような音楽。演奏される空間全体が子宮化すると言えるかもしれない。

突然現れたダンサーはナウージョの息子なのか、アンソロジーの誰か、スタッフの子どもなのか、素性は不明だが、まだ心身ともに柔軟な子どもなら、その音楽に敏感に反応し、大人には真似できないような、音楽というかその空間を満たす独特の波動に正確に対応した動き、ステップを見せる。メカスのカメラもそれを捉えている。