スズメを忘れていた

札幌、はれ。気温は4、5℃か。北風が冷たい。散歩の往きの裏道は、きのう一日で雪解けが数段進む。

藻岩山のこちら側、南斜面を陽光が照らす。

昨日見たせわしなく飛び回る集団とはうってかわって、ひとり静かに佇むヒヨドリらしきシルエット。撮影直後、甲高い声を上げながら、飛び立った。バタフライを彷彿とさせる飛行。

散歩の復路、表通りも昨日一日で雪はかなり解けて下水道に流れて消えた。タンポポ公園には野鳥のゲストなし。表通りに面した家並みの隙間から部分的に見える崖に残された原生林に、今朝はヒヨドリらしき七、八羽の小集団を見かける。さえずりの合唱も聞こえた。

毎朝、一番目につき、耳につくのは、実は、スズメたちである。今まで一度も撮影したことがないことに気づいた。スズメはカラス以上に人間に近い場所で生きているが、あまりによく目に入り、見慣れているからか、見過ごすことが多い。そこで、明日からはスズメにもちゃんと目を向けようと決意する。

ちなみに、スズメについてちょっと調べてみたら、Wikipediaの項目「スズメ」(Tree Sparrow)に人類との浅からぬ交渉があったことが書かれていた。初めて知った。

穀物を食害することから、古来より農民に敵視されてきたが、繁殖期には虫を捕食して害虫を減らすうえ、雑草の種子も多く食べる。中国では毛沢東の指示で米へ被害を与えるスズメを根絶してしまおうという「スズメ撲滅運動」が大躍進政策で行われた。その結果、たしかにスズメによる被害は減ったが、代わりに害虫が大発生し、結局収穫は大幅な減少に至った。大躍進政策における様々な無理により結果的に計数千万人の餓死者が出たとされるが、スズメ撲滅運動はその失敗例の一つとして取り上げられることが多い。ただし日本では現在も農家による限定的なスズメの駆除は認められており、狩猟対象鳥類28種のひとつ。捕獲したスズメは焼き鳥屋などで食用にされる。

またヨーロッパではイエスズメ(House Sparrow)が人里の主要な野鳥であることも初めて知った。

イエスズメ (Passer domesticus)は、鳥類の一種。雀類の仲間。ヨーロッパなど、ユーラシア大陸に分布する。 日本には生息しない(北海道積丹半島などで観測された例はあるが、迷鳥の部類と考えられている)。ヨーロッパなどでは人里の主要な野鳥である。 日本にいるスズメは、ヨーロッパでは森の鳥である。北アメリカ大陸には元々生息していなかったが、人為的に放鳥されたイエスズメが定着して移入種となっている。同様にして、イエスズメは移入種として世界中にひろまっている。