ジョナス・メカスによる365日映画、4月、99日目。
Day 99: Jonas Mekas
Monday April. 9th, 2007
4 min. 45 sec.
On Baudelaire's
birthday I declare my
love to French
poets and Paris.
ボードレールの誕生日に
フランスの詩人たちとパリへの
愛を宣言する
メカスのフランスの文芸家とパリへの熱い思いは、すでにアポリネールやスタンダールやジュネやパリの街そのものやカフェをテーマにしたフィルムで存分に語られて来た。
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凱旋門の上からパリ市街を望むメカス一行。オペラ座、ナポレオン像と日没。深く青い夕空の中ライトアップされ金色に輝く凱旋門。オペラ座。
真夜中のパリの通りを独り歩きながら、メカスはしみじみとパリを愛した詩人たちとパリに語りかける。
どこにいる?
どこにいる?
パリの
詩人たちよ
哲学者たちよ
今夜
どこにいる?
私に授けてくれた
非常に多くを
授けてくれた
非常に多くを
私が本当に苦しかったときに
私が本当に必要としたときにそして今
とても身近に感じる
あなたがたは
今夜
私の
すぐそば近くにいるこうして私は
今
今夜
歩いている
パリの通りを
私が
愛する
街の通りを
突然、
閑散とした通り
愛する、パリよ!
パリよ!
人っこ一人いない
パリよ!
と叫ぶメカスの声が入る別撮りの映像が挿入される。
そうだ
すべての詩人
すべての詩人
最後は若者で混雑するクラブの映像。この中に現代のボードレールはいるだろうか。
ボードレール(Charles Pierre Baudelaire, April 9, 1821-August 31, 1867)と言えば、「パサージュ」を、それこそ通路にしてベンヤミン(Walter Benjamin, 1892年7月15日-1940年9月26日)を想起しておきたいが、この辺りに関しては、先ずは松岡正剛さんの話を聞くのがいい。
松岡正剛の千夜千冊『パサージュ論』ヴァルター・ベンヤミン
松岡正剛の千夜千冊『悪の華』シャルル・ボードレール
その上でパリ、あるいはニューヨークでも、東京でもいいが、そのような都会の持つ最大の魅力としてのパサージュ性、通過性、私の言葉では日常を根源的に旅化する感受性、目と心を、今生きている、生活している場所でどれだけ鍛えることができるか、つまりはいつどこにいても自らをパサージュそのものと化すことを自覚的に実践することが大切であると思う。そうでなければ、詩人の想像力と言ったって、高が知れていると思う。