ブダペストの2Bギャラリーで6月8日から7月6日まで、私にも縁の深い、ジョナス・メカスの「365日企画」(365 Day Project, 2007)の展覧会が開催される。「365日企画」では、2007年の1月1日から12月31日まで、365日間、毎日1本の短編動画が無料で公開され、ウェブ上では12か月の映像カレンダー風に編集されたのだった。
2Bギャラリーでは、詳細は不明だが、12ヶ月に対応する12個のモニターが設置されて、各月の映像が同時に流されるようだ。2009年にパリのアニエス・ベーのギャラリーで開催された同様のインスタレーションでは、空間的構成が重視されたのに対して、今回はあくまで時間の流れを重視しているという。各モニターはメカスの人生の瞬間に対応し、全体として芸術家の人生の年代記(chronicle)を構成することが企てられている。この映像インスタレーションに立ち会うことを通して、観客は、記憶、時間(年代記)、そして物語について再考することが期待されているようだ。
もし私が「365日企画」の展覧会の企画を任されたとしたら、どうせやるなら、とプラネタリウムのような空間に365個のモニターを設置し、365本の映像を反復して流し続け、その明滅する映像の夜空に記憶の新しい星座のようなものを発見することが期待されるような企画を立てるだろうが、即却下されるであろう。