芸術家証明書 artist proof


 Lifetime Achievement Award(Guggenheim, 2010 Art Awards)


12月8日、ニューヨークではグッゲンハイム美術館が主催する、ハリウッドのアカデミー賞を皮肉ったような第2回ロブ・プルーイットの2010年アート賞(Rob Pruitt’s 2010 Art Awards)の授賞式が開催され、ジョナス・メカスはマーサ・ロスラーとともに「生涯にわたる功績を褒め称える賞(Lifetime Achievement Award)」を受賞した。ジョナスの受賞挨拶の様子を撮影したビデオは12月10日の日記に上げられている。



 Highlights from Rob Pruitt’s 2010 Art Awards(Jonas Mekas' Diary, December 10, 2010)


弟のアドルファスからはこの種の賞を受賞してその年に死んだ人がいるから、お前は受賞を辞退しろと言われたが、友人がたくさん集まる場所で一緒に飲みたいからやってきたんだとジョナスは軽くジョークをかまして会場を湧かせた後、世界には醜いことが溢れ、海は汚染され、人間性は危ういが、この瞬間を楽しもうではないか。そして、芸術家たるもの、人間を裏切ることなく、人間性を美しく繊細なものにすべく全力を尽そうではないかと力強く訴えていた。



 artist proof(Jonas Mekas' Diary, December 8, 2010)


ところで、ジョナスは12月8日の日記に何の説明もなく、30年ほど前にニューヨーク市の文化局から3年間の期限と居住制限の付いた「芸術家(an artist)」として認可されたときの証明書の写しを掲載していた。なんと「芸術家証明書」。そんな時代を経て、ジョナスは権力が管理しようとするどんな身分や肩書きとも無関係に今までずっと裸の芸術家として生きて来た。芸術家であることを証明するのは何か? ジョナスの強烈な皮肉が込められていると感じた。


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