論理学入門 第1回 論理的って?

論理学入門受講生の皆さん、今晩は。明日から講義が始まります。楽しみですね。そんなことない?そう言わずに、楽しもうとしてください。シラバスには難しそうなことが書いてありますが、実際には、もっとずっと分かり易く、役に立つように、徹底的に噛み砕いて説明しますから。

ウィトゲンシュタインという、舌を噛みそうな名前の哲学者が書いた『論理哲学論考』がメインのテキストに指定してあります。これは、「1世界は成立していることがらの総体である。」という???な言葉から始まり「7語りえぬものについては沈黙せねばならない。」という意味深な言葉で終わる、「論理学とは何か」を深ーく哲学した思想の書です。そのポイントを理解することがこの講義の最終目標ではあるのですが、これをいきなり消化するのは、いくらなんでも無謀な試みなので、講義の前半では、そのための準備体操をかねて、この授業のタイトル通り、「入門」ということで、そもそも「論理学って何?」という疑問をしっかりと解消してもらって、なんだ、論理学ってそういうことか、と分かってもらおうと思っています。昨年の同じ講義でも、それを試みました。ウェブサイト「三上研究室」の「論理学入門」と、このブログの「論理学入門」というカテゴリーの過去の記事を参考にしてください。しかし、今年はもっと分かりやすい授業を目指しています。

そこで、そのために恰好のサブ・テキストとして、野矢茂樹著『入門!論理学』を使用します。これは画期的な論理学入門書です。論理学を教えている私が言うのですから、間違いありません。こんな本を書きたかった。やられた、と思いました。

入門!論理学 (中公新書)

入門!論理学 (中公新書)

この本の帯の売りの言葉には「目からうろこ」の入門書とあるのですが、教える立場にある私にとっても正に「目からうろこ」でした。嘘ではありません。この本以上に、論理の裸の姿を簡潔に面白く美しく描いた本は他にない、と断言してもいいと思います。

そういうわけで、この講義の前半では『入門!論理学』を私がさらに噛み砕きながら、誰にとっても最初は難しそうでとっつきにくい論理学を本当はジューシーな果実みたいにおいしくて、身にもなるものなんだということを皆さんに伝えたいと思っています。そして後半では、いよいよ、そのような「入門」を超えた『論理哲学論考』の「哲学」の世界に案内する予定です。

明日の初回では、先ずは、論理的って、そういうことだったのか、と皆さんにも最初の「目からうろこ」を体験してもらうつもりです。