論理学入門
台所でコーヒーを飲みながら、ぼーっとしているときに、色々とひらめくことが多い。否定の論理学的な意味の一面を学生たちに伝えるための分かりやす図はどんなんかなと考えていた矢先だったせいか、ある図が頭に浮かんで、壁にかけてあるちっちゃなうす汚れ…
先週から春学期が開始して、私が担当する講義ものの情報文化論、情報倫理、論理学入門も初回を一通り終えました。情報文化論では大学生としての自覚を深く促しつつ、情報文化史的な背景を押さえた上でインターネットをフル活用した知的生産のための態勢作り…
さて最終の今回は、前半に『論考』入門のフィナーレとして、私たちの世界把握の根幹に関わるウィトゲンシュタインの「対象」と「名」についての独創的な考えを簡単に紹介します。それは私たちがいつの間にか母国語を習得したプロセス、そして普段ほとんど意…
前回は『論考』の序文を参照しながら、ウィトゲンシュタインの尋常ではない壮大な企画、すなわちすべての哲学問題にケリをつけるために、思考の限界を画定するという無謀とも思える企画を概観しました。それは実際には思考の表現としての言語の限界、すなわ…
前回まで私たちは一方では社会的に要求される論理力のトレーニング法を学びつつ、もう一方では現代の標準的な論理学の仕事が行われる思考の現場、いわば工場を一通り見学してきました。今回からいよいよ本願のウィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』に入門…
受講生の皆さん、こんにちは。実は先週、文連祭のために休講であることをすっかり忘れて、私は第9回の講義の準備を万端すませて大学に来てしまいました。ところが、……。間抜けな奴です。そういうわけで、今回の講義概要については先週6月15日にアップしたエ…
今回は述語論理の後半、『入門!論理学』でいうと、最終章の第6章「『すべて』と『存在する』の推論」の後半(218頁から243頁)に該当する内容の解説です。前回お話ししたように、私たち人間は、よせばいいのに、無限を相手にして「すべて」とか、無限のな…
今回は、いつも以上に気合いが入って、ドラゴンボールが教室の後ろの壁を突き破ってしまったような気さえした講義でしたが、真剣に耳を傾けてくれた皆さんには、述語論理のエッセンスのかなりの部分が伝わったのではないかという感触がありました。以前から…
前回簡単にアナウンスしたように、今回から2回にわたって、いよいよ現代論理学の「基本」の総仕上げにかかります。前回まで見てきた命題論理よりも一段深いところから、その命題論理も含んだより強力な論理学の体系づくりをみることになります。その体系は…
受講生の皆さん、今晩は。今回は、命題論理の体系、公理系をおさらいしてから、一気に加速して、意味論に案内しました。『入門!論理学』の枠を超えて、四つの記号も使いましたが、大丈夫でしたよね。なかなかクールだったでしょう?意味論の「意味」とは「…
今回のタイトルは『入門!論理学』第5章最終節の見出しに使われている言葉です(p.188)。ゲーデルの不完全定理については今回最後に簡単に触れますが、私たちがこれまで見てきた論理学の「輪郭」を論理学と隣り合わせの数学の世界の光の下に一瞬垣間見るこ…
今回は冒頭「否定とは何か」についてひらめいたことを少しだけお話しました。板書を写真に撮るのを忘れたので、授業直前にひらめいたことをラフスケッチしたものを載せておきます。 とりあえず、私たちが備えるべき力と今学んでいる論理学との関係を「論理学…
前回までで、標準的な命題論理の道具立てのすべてについて、それぞれの使い勝手を一通り学んだことになります。専門的にはそれを体系、特に公理系と呼びます。体系、システムというのは、世間では結構曖昧に使われていますから、ここで最も厳密な体系、シス…
前回は(前回も、しつこく)、論理とは何か、論理学とは何か、から始め、社会的に要求されるレベルの「論理力」をつけるためのトレーニング法、否定と連言と選言の総決算のようなド・モルガンの法則、そして条件法まで、一応やりました。これで、「神の論理…
受講生の皆さん、今晩は。連休はどうでしたか。連休モードからは抜けましたか?連休前の前回はまず、論理的になるには、言葉のつながり方に敏感になる、言葉のつなぎ方に自覚的になることだという話しをしました。そして論理的になるための隠れトレーニング…
受講生の皆さん、こんにちは。唐突ですが、復習のつもりで下の文章の括弧内にあてはまることばをちょっと考えてみてください。 論理とは、ことばとことばの関係の一種です。だから、ことばとことばをつなぐことばが、論理ではとてもだいじになります。とくに…
受講生の皆さん、こんにちは。第2回目の授業はどうでしたか。第1回目の復習に時間をとられてしまい、論理学が扱う否定の意味、否定に関する論理法則の解説がやや早足になってしまいました。授業終了後大勢の人が質問に来てくれたり、すでにコメントで質問…
受講生の皆さん、こんばんは。前回は、この講義の前半では、画期的な論理学入門書である野矢茂樹著『入門!論理学』を大いに参考にしながら、論理学を死んだ知識ではなく生きた方法として身につけるぞ、と確認しました。前回やったことを簡単に振り返ってお…
論理学入門受講生の皆さん、今晩は。明日から講義が始まります。楽しみですね。そんなことない?そう言わずに、楽しもうとしてください。シラバスには難しそうなことが書いてありますが、実際には、もっとずっと分かり易く、役に立つように、徹底的に噛み砕…
受講生のみなさん、こんにちは。 本日は皆さんに最終メッセージを届け、課題を回収しました。ざっと目を通しましたが、皆さん非常によく書けているようです。じっくりと読ませてもらいます。楽しみです。 さて、最終メッセージの中でも触れましたが、今後の…
受講生のみなさん、こんにちは。 最終回の今日は、 1)「11未完の対話」を敷衍しながら、これまでやってきたことを振り返り、「論理」と「対話」の重要性を再確認し、 2)論理的読解トレーニングの総まとめとして「論理的読解素材11」をやり、 3)この講義の最…
受講生の皆さん、こんにちは。 本日は 1)今までの聞く、読む場面での論理力のトレーニングから、自分の言いたいことを話す、書く場面での論理力のトレーニングの段階に入りました。そこで最も重要なことは、「問題」への感受性であること、すなわち、突き詰…
受講生の皆さん、こんばんは。今回は、 1)前回のおさらい、 2)「09否定のはたらき」、「ド・モルガンの法則」の解説、 3)「エゴからはじまる新エコロジー」の読解 を行いました。2)に関しては、まず実際の対話状況における否認や拒絶や非難に含まれる「否定…
受講生の皆さん、こんにちは。今日は、 1)「08思考という刃の切れ味は抽象化によって決まる」を解説しました。読めば分かるように書いてある筈だと思いますが、第三パラグラフにおいて、今までとは違う角度から新たに導入した「概念」、「思考」、「認識」と…
受講生の皆さん、こんにちは。今回は、 1)論理的読解トレーニングの基礎固めのために、「接続構造」を総復習してから、 2)「ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記」と「村上春樹が語る」を読み解きました。1)では、付加、解説(要約、敷衍、換言)、論証、例示…
受講生の皆さん、こんにちは。今回は、「オヤジのおせっかい話」、といってもかなり本質的な話をしてから、1)メインの資料「グレーゾーン」を使って、現実世界から可能世界へ通じる言語の道について敷衍(ふえん)し、さらに、社会生活における議論の困難と…
受講生の皆さん、こんにちは。今日は、 1)約束通り、事実からなる現実世界を出発点にして、日常言語を介して、いかに可能世界を拓(ひら)くか、について板書しながら解説しました。事態からなる論理空間と対象(名)の論理形式の把握に戸惑った人もいたよう…
受講生の皆さん、今晩は。 今日の授業では、 1)前回までの授業内容を簡単に振り返り、メインの資料(04論理への感受性)に書かれている内容について説明しました。専門的な論理学の位置づけに関しては、一般教養レベルでは哲学の中の一分野と見ても間違いで…
受講生の皆さん、こんばんは。今日の授業でやったことは、 1)デレク・ジャーマン監督の映画『ヴィトゲンシュタイン』の冒頭部分を鑑賞し、『論理哲学論考』を著したウィトゲンシュタインの生まれ育った環境と、彼が「哲学」や「論理学」へ向かった動機の一端…
受講生の皆さん、こんにちは。 今日2回目の授業では、 1)ウェブサイト「三上研究室」とブログ「三上のブログ」へのアクセスの仕方と利用法について、 2)ウィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』の読み方、 そして 3)主張の<つながり>としての論理の働きを…