Dragon Story by Jonas Mekas:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、4月、114日目。


Day 114: Jonas Mekas
Tuesday April. 24th, 2007
3 min. 45 sec.

My dragon story
taped by Kimberly
& something abt
Chicago & bread---

私のドラゴン*1の物語
撮影したのはキンバリー
シカゴの話とパンの話も少し

「別の物語!」と幼い声。すかさず、メカスは語り始める。

昔、ドラゴンに会ったんだ。ドラゴンは泳いでいた。それは見事な泳ぎっぷりだった。ドラゴンは「おいで、背中に乗りな」と言ったんだ。僕は背中に飛び乗った。ドラゴンは泳ぎもいいけど、歌うのも好きなんだ、と言い出して一緒に歌いながら川を下った。川の果てまで来たら、そこに島があった。私達は島を歩いた。そしたらそこは苺で一杯だったんだ。苺を摘んで食べたよ。ドラゴンは僕よりたくさん食べた。僕は小さいけど、ドラゴンは大きいからね。

「いくつ食べたの?」と幼い声。

このグラスに二杯分くらい、100個くらいかな。それでね、苺にはミルクが合うだろう。そこには牛がいたんだ。でもドラゴンは乳搾りのやり方を知らなかった。僕は知っていたんだ。そこで、ちゃんと連れて帰ってくれたら、ミルク苺を食べさせてあげると条件を出した。ドラゴンは承知した。とにかくミルク苺を食べたかったからね。そして僕は乳搾りをして、ミルク苺を食べた。それから、ドラゴンは僕を背中にのせて太平洋を超えて連れ帰ってくれたんだ、ニューヨークまでね。

「すごい!」と幼い声。

その幼い声の主はキンバリーという名のメカスの友人の子らしい。女の子。友人の家でのパーティーの席で、子ども好きのメカスは他にも即興で物語を話して聞かせたのだろう。「私は今ニューヨークにいる。シカゴには行きたくない」とメカス。(「シカゴ」が出てくる脈絡は不明。)すると「シカゴのパン屋が懐かしい。シカゴに行きたい。」と歌うように大声で話しはじめる大人がいる。たぶんキンバリーの父親。「もうこれでお終い」とメカス。「もしシカゴに行くなら、最高のパン屋があるよ」とつけ加えるメカス。

「キンバリーがお届けしたミッドナイト・ニュースでした。おやすみなさい」とカメラに顔を近づけて戯(おど)けるキンバリー。「ジョナスはとってもいい人だよ」とつけ加えて父親のそばに行く。「そんなにいい人じゃない。まあまあの人だ」と半分冗談半分本気で訂正する父親。しかし「最高の人だよ」と言い返してキンバリーは父親のそばから離れて行く。

*1:日本語の「竜」と「龍」の違い等に関しては、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%9C参照。