rainstorm like beautiful music:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、5月、145日目。


Day 145: Jonas Mekas
Friday May 25th, 2007
6 min. 51 sec.

rain storm in
Brooklyn

ブルックリンは
暴風雨

大きな雷鳴が轟き、激しい雨が降る日中、グリーンポイント(Greenpoint)の自宅を出たメカスは、舗道に面した一角を囲う金網のフェンスを被うヒルガオ(昼顔, Bindweed)の白い花と濃い緑の細長い葉に目を留める。「これらをあなたに、これらをあなたに、あなたに差し上げよう。…… いや、いや、いや。他にニュースはないんだ。ひとつだけさ。」

夜半、薄暗い自宅の部屋の中。雷鳴と強い雨音が聞こえる。「私は家でベッドに横になって、耳を開き、耳を澄ます。雨に、雷に。美しい。」

翌朝、さらに大きな雷鳴が休むことなく轟き、激しい雨に強い風が加わった戸外の様子。落雷の爆音。室内の鉢植えの木に生る赤い実。

そして、黒の背景に白い文字でタイプされたテロップが入る。

the spring rain
a little girl teaches
the cat to dance

Issa

春雨や
猫におどり[を]
をしへる子

一茶*1

メカスはどんな悪天候も「悪い」とは決して言わない。雷鳴も激しい雨も「美しい」と言い切る。「古代人の耳」という言葉が浮かぶ。

これを書いている今、札幌も暴風雨だ。家全体を激しく強く打つ雨音を美しい音楽のように聴くことができる耳を、メカスに倣って鍛えてみようか。雷鳴はまだ聴こえない。